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マンション大規模修繕の工事項目一覧と優先順位の決め方

マンションの外壁塗装や防水工事を検討して見積書を確認すると、「外壁補修」「シーリング」「屋上防水」「鉄部塗装」「仮設足場」など、さまざまな工事項目が並びます。

「塗装だけでは足りないのか」「どの工事を優先すればよいのか」と迷う方も多いのではないでしょうか。

マンション大規模修繕は、複数の工事を組み合わせて建物全体の耐久性と安全性を保つ工事です。工事項目の意味や優先順位の考え方を知らないまま見積書を眺めていても、判断に迷ってしまうのは自然なことといえます。

この記事では、マンション大規模修繕で確認したい主な工事項目と、優先順位の考え方見積書を見る際のポイントをまとめました。管理組合の総会や修繕委員会で判断を求められる場面でも役立つ視点を整理してお伝えします。

※シーリング =外壁材同士のつなぎ目を埋める材料。

 

大規模修繕は「建物を守る工事」をまとめて行なうものです

マンション大規模修繕とは、外壁塗装だけを指すものではありません。雨水の浸入を防ぎ、建物の安全性と耐久性を維持するために、複数の工事をまとめて計画的に行なうものです。

国土交通省が発行する「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」では、通常1215年程度の周期で大規模修繕を行なうことが示されています。工事金額ベースの内訳を見ると、1回目の大規模修繕では外壁関係が24.0%、防水関係が22.0%、仮設工事が19.2%を占めており、大規模修繕は複数の工事の集合体であることが分かります。

まずは、工事項目を3つのグループに整理しましょう。

 

建物を守る工事| 下地補修・シーリング・防水

雨水の浸入を防ぎ、躯体を保護する役割を担う工事です。

下地補修工事では、外壁のひび割れ補修、コンクリートの浮き・欠損部分の補修、爆裂した箇所の補修などを行ないます。塗装をする前段階の工程として重要で、劣化箇所の補修をしないまま塗装をしても、下地の傷みが再発しやすくなります。

シーリング工事は、外壁のボード同士のつなぎ目や、サッシまわり、換気口まわりなどに使われているコーキング材の打ち替え・増し打ちを行なう工事です。シーリング材は紫外線や雨で劣化し、痩せて隙間ができると雨水が浸入する経路になります。

防水工事は、屋上・ルーフバルコニー・バルコニー・共用廊下などの防水層を作り直す工事です。アスファルトシート防水、塩ビシート防水、ウレタン塗膜通気緩衝工法、ウレタン塗膜密着工法など、部位や下地の状態に応じた工法が選ばれます。

※躯体 =建物を支える構造部分。
※爆裂 =鉄筋の錆による膨張でコンクリートが割れる現象。

 

美観と耐久性を保つ工事| 外壁塗装・鉄部塗装

建物の見た目を整えながら、素材そのものを保護する工事です。

外壁塗装工事では、下塗り・中塗り・上塗りの工程で塗膜を形成し、外壁を紫外線・雨・熱から守ります。塗料には樹脂の種類によってグレードがあり、シリコン、フッ素、無機、ピュアアクリルなど、耐用年数と価格の異なる塗料の中から選ぶことが必要です。

鉄部塗装工事は、玄関扉(鋼製扉)、パイプスペース扉、バルコニー手摺、雨樋、外部鉄骨階段、隔て板などの鉄部を対象に、ケレン(さび落とし)→錆止め→中塗り→上塗りの工程で施工します。鉄部は錆が進行すると穴が開いたり強度が落ちたりするため、定期的な塗り替えが検討される部位です。

 

工事を支える工事| 足場・養生・共通仮設

各工事を安全に、かつ品質を保って進めるための工事です。

足場仮設工事では、作業員が安全に施工できる足場を組み、メッシュシートで塗料や粉じんの飛散を防ぎます。頭上養生設備、立ち入り禁止看板、第三者侵入防止対策なども含まれます。

養生は、塗装しない部分やガラス・サッシなどに塗料が付着しないようビニールシートで覆う作業です。植木や車両、近隣への配慮も養生の範囲に含まれます。

共通仮設工事には、仮設事務所、作業員休憩所、資材置き場、仮設トイレ・手洗い場、仮設電気設備の設置などが含まれます。目立ちにくい工事ですが、工程全体を円滑に進めるために必要な項目です。

 

優先順位は「雨水・安全・劣化状況」で決めます

工事項目の全体像がつかめたら、次に気になるのは「何から手をつけるべきか」という優先順位です。修繕の優先順位は、築年数や見た目の古さだけで決めるものではありません。同じ築年数のマンションでも、立地・方位・過去の修繕履歴によって劣化状況は異なります。

ここでは、優先順位を判断する3つの軸をご紹介します。

 

雨水の浸入につながる劣化を最優先で確認する

最も優先度が高いのは、雨水がマンション内部へ浸入するリスクにつながる劣化です。

具体的には、屋上防水層の破断や膨れ、シーリング材の切れや剥離、外壁の0.3mm以上のひび割れ、バルコニー床の防水劣化などが該当します。雨水が躯体内部に浸入すると、鉄筋の腐食、コンクリートの爆裂、断熱材の劣化、内装のシミ、カビの発生など、二次的な被害が広がる可能性があります。

雨漏りが室内に現れる頃には、内部で劣化が進行していることも少なくありません。表面上は問題がなさそうに見えても、シーリングや防水層の劣化は優先度の高い項目として位置づけることが大切です。

 

落下や腐食など安全性に関わる劣化を優先する

居住者や通行人の安全に関わる劣化も、優先順位の高い項目です。

鉄筋コンクリート造のマンションで劣化が進行すると、コンクリートの剥落が発生することがあります。天井部分のコンクリート剥落は、下を歩く方の頭上に落下するおそれがあるため、特に注意が必要な症状です。タイル外壁の浮きも、放置すると剥がれ落ちて事故につながるリスクがあります。

また、バルコニー手摺や外階段の鉄部が腐食して強度が落ちている場合も、居住者の安全に直結するため、早期の補修対象として検討すべきです。安全性に関わる劣化は、費用の大小にかかわらず先送りしない判断が求められます。

 

劣化の進行度と修繕履歴を踏まえて判断する

同じ劣化症状でも、進行度によって工事内容や時期の判断は変わります

外壁のひび割れひとつを取っても、幅0.3mm未満のヘアークラックであれば経過観察でよい場合もあれば、構造クラックのように進行が早く早期補修が必要なものもあります。

過去の大規模修繕でどこまで補修したのか、どの部位に何年前に何を施工したのかという修繕履歴も、優先順位を決めるうえで重要な情報です。

なお、実際の緊急性や実施時期は、マンションの仕様・立地・修繕履歴・現地調査の結果によって異なります。同じ築年数でも判断が変わるため、優先順位は現地調査と診断結果で確認する必要があります。

※構造クラック =住宅や地盤の歪みによって発生するひび割れ。

 

見積書は「一式」ではなく施工範囲まで確認しましょう

優先順位の考え方が整理できたら、次は実際に受け取る見積書の読み方です。

大規模修繕の見積書は金額が大きくなるため、合計金額だけで比較しがちですが、それでは工事の中身が分かりにくく、後々のトラブルにつながる可能性もあります。見積書は、3つの視点で確認することが大切です。

 

工事項目ごとに分かれて記載されているか

まず、足場、下地補修、シーリング、防水、外壁塗装、鉄部塗装などが、それぞれ別項目として記載されているかを確認します。

「外壁塗装工事一式」とだけ書かれた見積書、いわゆる「一式見積もり」では、どの工事にどれだけの費用がかかっているかが分かりません。工事項目が細かく分かれていれば、他社の見積書と項目単位で比較することもでき、必要な工事が抜け落ちていないかも確認しやすくなります。

 

施工範囲・数量が明記されているか

各工事項目に、施工範囲と数量が明記されているかも重要な確認点です。

外壁塗装であれば塗装面積が㎡(平方メートル)で表記されているか、シーリング工事であれば打ち替えの延長距離がm(メートル)で示されているか、防水工事であれば施工面積と工法が具体的に書かれているかを見ます。

塗装面積は、図面や実測をもとに算出する方法が一般的であり、その根拠が明示されているかどうかも判断材料のひとつです。

また、下地補修についても、ひび割れ補修・浮き補修・欠損補修・爆裂補修など、想定される補修項目ごとに数量や単価が示されているかを確認しましょう。実際の補修数量は工事が始まってから確定するケースも多いため、単価と想定数量が明示されていると、追加費用が発生した際にも比較しやすくなります。

 

補修方法・材料・施工仕様が確認できるか

3つ目の視点は、使用する材料と施工仕様の明示です。

塗装工事であれば、塗料メーカー名・商品名・使用缶数まで記載されているかを確認しましょう。「シリコン塗料」とだけ書かれていても、メーカーや商品によって性能と価格は異なります。塗料の性能を発揮するためには、塗料メーカーが定める基準塗布量を守った施工が必要です。

塗装面積と使用缶数が示されていれば、規定量が守られる前提で見積もられているかを判断する材料になります。

防水工事であれば工法名(ウレタン塗膜密着工法、塩ビシート防水など)、シーリング工事であれば材料名(変成シリコン系、ポリウレタン系など)と打ち替え・増し打ちの別が明示されているかを確認しましょう。

見積書だけで判断しにくい場合は、劣化箇所の写真や診断報告書と照らし合わせて確認することが大切です。

※基準塗布量 =塗料を塗る際に守るべき量の基準。

 

相談先は「優先順位の理由を説明できるか」で確認します

見積書の読み方が分かっても、そもそも相談先の塗装会社が判断できる材料を提示してくれるかどうかが前提になります。

大規模修繕は金額も期間も大きな工事のため、相談先選びで検討のしやすさが変わります。ここでは、相談先を選ぶ際に確認したい判断材料を整理しましょう。

 

劣化箇所を写真や報告書で確認できるか

まず確認したいのは、劣化箇所を客観的な資料で示してもらえるかどうかです。

口頭で「劣化しています」「早めに直したほうがよいです」と説明されるだけでは、根拠が分かりにくいものです。屋上や外壁の高所など、普段は見えない箇所を写真や動画で撮影し、報告書としてまとめて説明してもらえる相談先であれば、判断材料が明確になります。

国土交通省のガイドラインに沿った診断項目に基づいて調査しているかも、確認しておきたい点です。

 

「今行なう工事」と「経過を見る工事」を分けて説明できるか

すべての工事項目を一律に「今すぐ必要」と提案されると、判断に迷いやすくなります。

工事項目と優先順位の理由を説明してくれる相談先であれば、「今回の修繕で行なうべき工事」と「次回まで経過を見ながら検討する工事」を分けて提示してもらえます。

劣化の進行度、雨水浸入のリスク、安全性、過去の修繕履歴を踏まえたうえで、なぜその優先順位になるのかを言葉で説明できるかが確認ポイントです。

複数のプランを比較検討できるように提案してくれるかも、大切な視点です。

同じ建物でも、耐用年数や保証年数、費用のバランスによって選択肢は変わります。金額や仕様の異なるプランを並べて説明してもらえれば、管理組合の総会での合意形成もしやすくなります。

あわせて、保証内容・範囲・免責事項が書面で明示されているかを確認することも重要です。

 

診断と見積書で必要な工事を整理できる相談先を選ぶ

株式会社オムラ(プロタイムズ下関店)の公式ホームページでは、外装劣化診断士による建物診断と、10種類以上の塗装プランの中から厳選した5種類のプランを見積書として提出する流れをご確認いただけます。

材料費と施工費を分けて記載し、使用する塗料名・缶数・塗装面積まで明記した見積書と、外装リフォーム図面をあわせてお渡ししています。工事項目や優先順位を整理したい場合は、建物診断と見積もりを通じて確認することが可能です。

※外装劣化診断士 =一般財団法人塗装品質機構(PQA)が試験実施・認定を行う、住宅の外装部分の劣化状況の調査・診断・対策提案を行なえる資格。

 

必要な工事項目を整理してから修繕を進めましょう

マンション大規模修繕は、下地補修・シーリング・防水・外壁塗装・鉄部塗装・仮設工事など、複数の工事項目で構成される工事です。工事項目を増やすことが目的ではなく、建物の劣化状況に合わせて必要な修繕を整理し、優先順位を決めることが修繕計画の本質といえます。

優先順位を判断する軸は、雨水の浸入リスク居住者や周辺への安全性劣化の進行度の3つです。

見積書を受け取った際は、合計金額だけでなく、工事項目ごとの分け方、施工範囲と数量、材料と施工仕様まで確認することで、必要な工事が適切に含まれているかを判断しやすくなります。

必要な工事項目や実施時期は、マンションの仕様・立地・修繕履歴・現地調査の結果によって異なります。ご自身のマンションで何を優先すべきか迷った場合は、建物診断と見積もりを通じて確認する流れがおすすめです。

株式会社オムラ(プロタイムズ下関店)では、外装劣化診断士による建物診断と、複数プランを比較できる見積書のご提出を通じて、お客様のマンションに合った修繕内容の整理をお手伝いいたします。

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